セカイノオワリが好きな理由
セカイノオワリというバンドは、もはや死語である「中二病」と揶揄(やゆ)されることの多い人たちですね。
私は彼らの存在自体にさして興味はありませんでしたが、2011年の大みそか、
正確には2012年の午前1時過ぎくらいに、彼らを好きになったのです。
話は2010年に遡ります。我が家には、パフィーといういぬがいました。
茶色と白の、毛並みのキレイなシェットランドシープドッグです。私がまだ6歳の頃に家にやってきました。
はっきり言って、超絶かわいい。それこそ、住んでいた杉並区でかわいいいぬ選手権が行われれば、
1~2位少なくとも、ベスト5には必ず選ばれたことでしょう。
そんな子が、16歳という高齢で寝たきりになり、2010年の暮れから2011年の夏ごろまで、
母が主体となり介護を行っていました。
苦しそうな声を上げることもあって、本当に辛かったと思います。
目をつむっているパフィーを見て、ふと「息をしていないんじゃないか」と心臓がキュッとなることがしょっちゅうありました。
思わず「パフィー!?」と呼びかけると、ゆっくりと目を開ける。
その度に、ほっとして、「起こしてごめんね」と頭をなでます。
徐々にこちらの顔を見ているのか見ていないのか、分からなくなっていきます。
もう自力で食事はできないので、身体に管を通し、補液という形で栄養を与えます。
この決断も苦渋でしたが、その日々は、3ヶ月ほどで終わりを告げました。
早朝、看取ったのは母でした。力を振り絞るように顔をぐっと上げ、母の顔を見つめたそうです。
その後、母の悲鳴に近い声を聞き駆けつけたのを、今でもよく覚えています。
その年の暮れは、珍しく家族そろって過ごしました。
2011年というとは、日本では未曽有の自然災害があった年でしょう。
しかし私にとって2011年は、かけがえのない家族がいなくなってしまった年に他なりません。
ちょうど、スマップの仲居くんが司会の歌番組をやっていました。
年末年始にテレビを見るなど、随分久しぶりのことでした。
パフュームが「Spring of Life」を歌い、そのあとに登場したのがセカイノオワリだったと思います。
名前しか聞いたことのない、最近流行っているらしいJ-POPの人、くらいの印象でした。
イントロから歌が始まった時の、あの懐かしさはどう表現したらいいのか分かりません。
パフィーとは、いろいろなところに行きました。近くの公園を散歩したり、普段通らない道を一緒に走ったり。
家族で旅行に行き、草原に放してやると嬉しそうに駆け回りました。さすが牧羊犬。
夜は東京では見られない星空がとてもキレイでした。
物陰にかくれて、ワッと脅かしたこともあります。その時の顔が(今思うとかわいそうなことをした。すまん)また可愛いこと可愛いこと。
たくさんの思い出がフラッシュバックするようでした。
曲のタイトルは、「眠り姫」。
涙をこらえきれませんでした。こんな歌があるのかと、ただただ、感情がごちゃごちゃになって、
よく分からなくなってしまいました。
この曲、大げさな失恋ソングみたいに否定されることもあります。
多分、介護をしたことのある人には、ちょっと違った視点で聴くことができるのではないでしょうか。
セカイノオワリは、今でも好きな曲があります。RPG、銀河外の悪夢、ピエロ、SOS……などなど。
ただ、眠り姫という曲がなければ、きっとこのバンドを好きになってはいなかったでしょう。
以上、私がセカイノオワリを好きな理由でした。